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「気を付けて扶養の範囲内で働いたはずのに税金がかかってる?!どうして?」
実はこれは、仕事を始めた翌年の6月以降に給与明細を見た主婦パートさんによく起こる悲劇です。
所得税や社会保険の扶養に関しては、慎重になっている人でも、意外と見落としがちなのがパートしている自分自身にかかる「住民税」と「所得税」です。
扶養のことを考えて、旦那の所得税の控除が受けられても、自分に税金がかかったらその分手取りが減ってしまうわね!
その通りです!
そこで今回は、主婦がパートを始めた際に、その収入にかかる税金について詳しく解説していきたいと思います。
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主婦のパートにかかる税金「住民税」「所得税」
STEP.1では、扶養についてのお話をしました。
扶養とは、主婦がパートする場合には、一家の大黒柱となるご主人の所得税額に控除が受けられたり、と言うお話です。
それとは別に、パートする主婦自身にももちろん税金がかかります。
それが、「住民税」と「所得税」の2つです。
所得税に関しては、「103万円の壁」として認識している人も、「住民税」に関しては見落としている人も多いものです。
住民税とはそもそも何にかかるの?
まず、そもそも住民税とは、「都道府県民税」と「市区町村民税」を合わせた地方税のことを指します。
市区町村や都道府県によって提供されているサービスを、その地域に住む住民が負担するための税金で、各地方自治体によって計算され、徴収されます。
住民税はいつどう払う?
住民税は、1月1日に住所を置く自治体に収めることになります。
住民税の納付時期は6月。自動車税の5月の後に通知が来ますね。
普通徴収の場合でも、特別徴収の場合でも、その年の住民税額は6月に決まり通知されます。
・普通徴収(個人事業主など給与所得者以外)
自治体より住民税の納税通知書が納税者に交付され、賦課し徴収します。納税者は納税通知書にしたがい、年4回(通常は、6月、8月、10月、翌年の1月)に分けて市区町村に納付します。
・特別徴収(給与所得者や65歳以上の公的年金を受給者など)
会社などの「特別徴収義務者」が納税者から税金を徴収して納付します。給与所得者の住民税の住民税額を特別徴収義務者(会社)に通知し、毎月の給与から住民税額を差し引いて市区町村に納付します。
住民税の計算方法は?
住民税は、前年1年間の所得に対して、その年の1月1日時点の所在地にて課税されます。
そのため、働き始めて1年目には課税されません。
そして、その課税の内訳は、「都道府県民税」と「市区町村民税」それぞれの「均等割」と「所得割」です。
「均等割」とは対象者全員が一律に同一金額課税されるもので、一方「所得割」は課税所得額に応じて定率で徴収されます。
住民税がかかる場合は、5000円+課税所得の10%です。これは、各都道府県によって若干異なります。少なくとも、課税対象になった場合には5000円以上はかかります。
住民税の非課税になる年収いくらまで?
住民税の計算は、給与所得者の場合、給与所得控除+基礎控除を収入から差し引いた課税所得に対して「所得割」の金額が計算され、「均等割」分と合算させた金額が住民税となりました。
この給与所得控除と基礎控除の金額は、令和3年にも改定されることとなり、一律10万円の引き上げと上限額の引き下げが行われました。
その詳細は割愛しますが、非課税の対象はざっくりと下記のようになります。
合計収入 | 給与所得控除 | 所得控除 | 課税所得 |
---|---|---|---|
100万円以内 | 55万円 | 45万円 | 0円(非課税) |
100万円~162万500円以下 | 55万円 | 43万円 | 収入₋98万円 |
「100万円の壁」と言われるのは、住民税が非課税になるボーダーラインの年収が100万円となるからです。
ただ、市区町村によっては90万円台でも「均等割」の部分の5000円だけかかってくる場合もあります。
ちなみに、所得控除は2400万円までは一律43万円で、それ以上は段階的に減っていきます。
一方の給与所得控除は、162万500円以上からは段階的に計算式が分かれており、年収850万円超以上からは195万円の定額になっています。
所得税と扶養の関係
次に、「所得税」についてです。
所得税は、パートする本人に課せられる所得税と、パートする人を含む家族を養う大黒柱にかかる所得税、この2つがパートの年収に関わってきます。
と言うのも、大黒柱は、扶養家族の人数によって「扶養控除」が受けられるからです。
夫が主たる家計者で、妻がパートで働く場合は、「扶養親族」の控除とは別枠で「配偶者控除」があり、これらの控除対象になる被扶養者の年収の上限が103万円になっています。
妻がパートに出たり、子供がアルバイトに行くときに、年収を気にしなければいけないのは、控除がなくなって所得税額が上がる恐れがあるからね!
パート者本人にかかる所得税と扶養者にかかる所得税
一方、所得税は、大黒柱の控除だけではなく、パートしている本人にも課せられる国金です。
所得に応じて国に治める必要があります。
所得税は 給与所得控除55万円+基礎控除48万円=103万円 を収入から差し引いた額に対して、課税されます。
つまり、年収を103万円以下に抑えるということは、扶養に入れるだけでなく、働いている本人も住民税の非課税対象になるということです。
2020年の所得税率
税率は税制改正で頻繁に変わるのですが、ここでは2020年の税率を紹介します。
住民税の均等割や、定率の所得割とは異なり「累進課税率」がとられています。
つまり、所得が上がれば上がるほど、貸せられる税金も上がるということです。
課税所得(収入ー控除) | 税率 | 控除額(計算された税額から差し引かれる金額) |
---|---|---|
195万円以下 | 5% | 0円 |
195万円を超え 330万円以下 | 10% | 97,500円 |
330万円を超え 695万円以下 | 20% | 427,500円 |
695万円を超え 900万円以下 | 23% | 636,000円 |
900万円を超え 1,800万円以下 | 33% | 1,536,000円 |
1,800万円超 | 40% | 2,796,000円 |
330万円と、331万円では10%も税率が変わるなんて!
所得税はいつどうやって払うの?
所得税は、その年の1月から12月までの所得から計算されます。
税額を決める所得額はその年が終わらないと確定することができませんが、会社員の場合は給与天引きで概算の金額を納付し、12月に会社が年末調整を行います。
個人事業主や、副業をしているなどで2か所以上からの収入がある場合は、翌年2月16日から3月15日までに確定申告を行って一括納付する方もいます。
住民税と所得税の違い一覧
ここまで見て来た、住民税と住民税、わかりやすく一覧で違いを比較してみました。
基本的な制度の違い
項目 | 住民税 | 所得税 |
---|---|---|
税の納付先と種類 | 地方税|地方自治体 | 国税|国 |
計算の対象年度 | 前年1年間の所得 | その年の1年間の所得 |
計算方法 | 均等割+所得割 | 累進課税率 |
納税時期と方法 | 6月より一括か4分割払い または給料天引きのいずれか | 給料天引き+12月に年末調整 または翌2,3月で確定申告のいずれか |
控除金額の違い
パートの税金は年収いくらからかかる?
そして、やっぱり気になるのはやっぱり
「パート収入のいくらから税金がかかる?」
と言うことですよね。
年収の範囲 | 課税対象の詳細 |
---|---|
90万円台以下 | 所得税のほか、住民税の均等割り所得割り、すべてが非課税 |
100万円以下 | 所得税・住民税非課税(市町村により住民税の均等割5000円がかかる可能性あり) |
100万円以上103万円以下 | 所得税は非課税・住民税は課税対象 |
103万円以上 | 所得税・住民税共に課税対象 |
確実に税金を1円も納めないのであれば、住民税の均等割のことを考え、年収を90万円程度を目安にしておくのがいいでしょう。
均等割の5000円に加え、所得割は課税所得の10%程度です。
所得税の均等割がかかる可能性があるのなら、所得税がかかる103万円ギリギリの年収にしておく方が手取りは増えるのではないでしょうか?
私個人的な意見としては、100万円の壁はあまり意味がないように思います。確実に住民税非課税を狙うか、所得税の103万円の壁ギリギリを狙うか、自分にかかる税金を考慮する場合には、このあたりでパートを調整するといいと思います。
おまけ
パート勤めもいいですが、私個人的には子育てママさんには「副業」的な働き方がおすすめ。
個人にかかる税金を見てきましたが、パート勤めに出ると、パート先の都合で、ボーダーの金額を微妙に超えて損をしてしまったり、ギリギリまで働きたいのに全然足りなかったり、思うようにコントロールできない場合もあります。
そんな時は、パートと組み合わせて、確定申告で経費の控除もしながら、趣味×副業のような働き方も視野に入れてみてもいいのではないかと思います。
楽しみながら自分らしく、損のないかしこい働き方をしたいものですね
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