読書家ママ推薦!親子でマネーリテラシーを身につけられる「おカネの教室」
※ネタバレごめんなさい!
「これは、子供に絶対読ませたい!」
月に週十冊の本を読む中で、ビビビッときた一冊。
高井浩章さん著「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」
今回は、この名著についてご紹介したいと思います。
子供が中学生になったらぜひ読ませたい1冊でありながら、大人でもあいまいな金融の知識が楽しめながら、学べます。
学校では詳しく教えてくれないお金の知識だからこそ、この本で親子で学びを深めたいです。
世界を豊かにする、経済的に豊かに暮らしたい人の必読書です。
「おカネの教室」ってどんな本?概要を知ろう
「おカネの教室」の概要
この本の面白みは、小説仕立ての会話形式で経済知識を学んでいけるところです。
主人公の中学生の男女と先生が「そろばん勘定クラブ」の活動を通し、「おカネを稼ぐ方法」「おカネの正体」を考えます。
町一番のお金持ちの地主の娘と、一般庶民の息子。お金についての善悪、親の職業の不平等、「かせぐ」「もらう」「ぬすむ」という分類で深く掘り下げて世界規模のお金の話を展開していきます。
「おカネの教室」の著者とその成り立ち
「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」は著者の高井浩章さんが自身の子供さんに向けて、7年間家庭内で連載したプライベートな小説を改稿して書籍化したものです。
高井さんは、愛知県出身の経済記者・デスク。その経歴は20年を超え、専門分野は、株式、債券などのマーケットや資産運用ビジネス、国際ニュースなどだそうです。
プライベートでは三姉妹の父親だそうですよ。
経済記者である父が、我が娘たちに伝えたい金融知識と言うことで、我が子の経済的自由を望む私たちママや、その子供たちにとってもぴったりの内容になっています。
「おカネの教室」のポイント
- お金を手に入れるには6つの方法がある
- リーマンショックは「銀行家」によって起こるべくして引き起こされた
- 職業について:必要悪と「素人」「玄人」がある
- 世界経済の縮図は「公園」の利用と同じ
- 借金の利息は「複利」で雪だるま式に増える
- リスクとリターンは相関関係
- 株式投資「神の見えざる手」で最強のマッチング
- 貧富の差が進行する理由「r>g」
- 「お金」がお金になるのは「信用」のため、ビットコインも同じ原理
- 銀行と「信用創造」、お金は作ることができる
なんだか、ポイントを見るだけでも勉強になりそうなのがわかるわ!
※この先より、ネタバレが含まれるのでご注意ください
「おカネの教室」のネタバレ要約
ここからは、「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」の本文の要約を含めたダイジェスト内容となります。
お金を手に入れる「6つの方法」とは?
- かせぐ:世の中に富を生み出す
- ぬすむ:誰かを犠牲にして儲ける
- もらう:「かせぐ」ほど富を生み出さないが「ぬすむ」でもない
- かりる:お金や不動産を借りて、期間に応じて金利をつけて返す
- ふやす:「かりる」の逆で起きていること
- つくる:株式の発行など、信用に値段をつけて相手や市場に認めさせること
本書の中では、世の中の職業や仕事は、上記のいずれかに分類されるとされています。
これは単なる職業の区分ではなく、その人一人一人の働き方を指します。
例えば世の中の役に立つ「銀行家」でも、ダニのように人の利益をむさぼるような仕事をすれば、それは「ぬすむ」になります。
役に立つ仕事と役に立たない仕事
本書の中では「先生」「昆虫学者」「パン屋」「高利貸し」「パチンコ屋」「地主」「サラリーマン」「銀行家」「売春婦」を例に、役に立つ職業と役に立たない職業について考えます。
例えば「パチンコ屋」「売春婦」は、人間の欲求に根差した古くからある職業で「もらう」の中でも「必要悪」として分類されます。
「サラリーマン」はダメな会社の中でいくら必死で頑張っても世の中の役には立たないとされ、ウォーレン・バフェットの「やる価値のない事は、うまくやる価値もない」の名言が引き合いに出されています。
リーマンショックはなぜ起きたのか?
2008年に起こった、米国大手銀行の「リーマン・ブラザーズ」の破綻により、世界中の金融システムが機能不全になった「リーマンショック」について。
これは、銀行家たちが、所得の低い人たちに自分では到底返せるわけもない住宅ローンを貸しまくり、住宅価格が下落し始めてローン返済ができない人が急増したことがその発端です。
そして、ローンを貸した銀行が損をするというだけにとどまらず、お金を貸したという取引を「証券化」して、世界中の投資家にばらまくことで、貸し倒れのリスクを世界中に拡散したからさらに質が悪いとのこと。
このことで、銀行や投資家は大損することになりますが、「銀行家(バンカー)」だけは、リーマンショック前にボーナスなどで大儲けしていました。
世界経済が破綻することを分かっていながら、自己の利益のみを追求した銀行家たちによって引き起こされた悪夢、それがリーマンショックの正体だったのです。
リーマンショックって、何となくしかわかっていなかったんだけど、そういう原因で起こっていたのね!
そしてさらにひどいことに、世界恐慌を回避するために国が銀行の借金を肩代わりしました。国のお金、それはつまり国民の税金です。利益は銀行家、損失は国民に負担と言う、最悪のシナリオですね。
世界経済の縮図は公園
「フツーが世界を豊かにする」をテーマに、「フツー」とは何かについて考えさせられます。
- 生活保護は「ズル」なのか?
- 障害者を単純作業に従事させることは搾取なのか?
- 「かせぐ」人がえらくて「もらう」人はえらくないのか?
こういった議題を用いて、世界の経済を公共の場である公園の利用に例えています。
「かせぐ」公園に来て、元来た状態よりもきれいにして帰る人
「もらう」公園に来て、自分のゴミだけは持ち帰る人/少し汚してしまうけど公園の利用を許されている人
「ぬすむ」公園に来て、汚したりこわしたりする人
世界はかせぐ人たちによって支えられながら、もらう人も豊かに暮らせるように回っていますが、かせぐからといってえらいわけではありません。
「フツー」とは「かせぐ」と「もらう」の範囲で、一人一人がさぼらず一生懸命自分のできる仕事をする、自分の持ち場を守るということなのです。
貧富の格差が広がる理由「r>g」
本書では「神の見えざる手」をテーマに、株式投資の仕組みについて詳しく解説しています。
そこで出てくる「ピケティの不等式:r>g」
富む者はますます富み、貧しいものはますます貧しくなるデータが示されています。
- r:「資本収益率」を表す
- g:「経済成長率」を表す
- 経済成長よりも投資で儲かるスピードの方が早い
- 給料よりも投資の方がお金の成長が大きい
- 株式や不動産への投資は、元手を持っている富裕層にしかできない
「ピケティの不等式:r>g」はママ向け投資の中でも出てきましたね!経済的に豊かになりたければ、投資が必要だということです!
また、おまけとして貧富の差の拡大原因には「相続税」と「オフショア(タックス・ヘイブン)」も深く関係していると説明されていました。
おカネ=信用(約束・信頼)
お金がお金として利用できるのは、「お金には価値がある」と言う共通の信用があるからです。
これを「共同幻想」と言います。
ビットコインなどの仮想通貨も、「これには価値がある」と共通認識しているからこそ新しい通貨として成り立っています。
お金=信用(約束・信頼)
もしこの信用がなくなれば、お金はただの紙切れです。
信用創造
銀行は、預金を投資したり貸し出すことによって利益を出しています。
預金者がすぐにお金を引き出さないと想定して、準備金10%を残して、その他すべてを運用に回します。
借りた方も、10%を残しまた貸し出します、そしてまたその借りた人も10%を残してまた貸し出す、こうしておカネが動くことで経済は回っています。
こうすることで、銀行は最初の預入金額の何倍もの預金通貨を創造できるのです。
これを、「信用創造」と呼びます。
- 世の中に出回っているお札や硬貨はお金の一部分にしか過ぎない(流通量は100兆円ほど)
- 日本の預金残高は数百兆円規模
- 預金の増加=信用創造でお金が増加している(おかねを「つくる」状態)
「おカネの教室」の感想
子供が中学生になったら読ませたい
本書では、「お金の6つ稼ぎ方」と「職業」と「役に立つ・役に立たたない」これらを結びつけて議論しています。
例として「先生」「昆虫学者」「パン屋」「高利貸し」「パチンコ屋」「地主」「サラリーマン」「銀行家」「売春婦」が取り上げられています。
大人が読む場合には、あまりにも単純化しすぎているように思いますが、中学生がイメージしやすくするために具体的な職業を一般論として提示しているということだと思います。
抽象的過ぎると、子供は頭の中で迷子になってしまうので、その点とても理解しやすいと思いました。
ただ、この本は経済の入門書として、さらに一歩複雑に考える思考を持つための足掛かり的な立ち位置で、子供に読ませる必要があります。
一歩間違えば、職業差別にもつながりかねないからです。
裕福だけど、親の職業に誇りが持てずに悩む女の子を視点としているのが、中学生の子供に「お金を稼ぐ」ことと「世界の経済」を結び付けて、視野を広げるのに秀逸だと思いました!
「ずるい」という感覚についての考察
本書の登場人物の中学生の女の子は、自分の一家の職業を「地主はずるい」「先祖からもらったものでいい暮らしをしている」と感じ、親の仕事を快く思っていません。
確かにこの考えには、個人的に深く共感できます。
子供は生まれる家は選べません、貧乏に生まれれば貧乏に育つし、お金持ちに生まれれば、裕福に育つ。
これを「ずるい」と感じるのは主人公や私だけではないと思います。
私は極貧生まれなので、主人公とは反対の立場から「ずるい」と感じました。
結局、本書においては「相続税」の問題で、世襲は得ばかりではないこと、前の時代で行ってきたことで起こされている裁判の処理、事業をすることは個人の意思を越えてその周りで働く人たちの人生を担っているという苦悩などから、「楽して暮らしている」とは違う一面を示唆しています。
とはいえ、富める者はますます富むこの世界、諸々の苦悩を差し引いても裕福に生まれたことが「ずるい」という感覚はやはり残りました。
「おカネの教室」から学んで実践すべきこと
お金を稼ぐことは「悪」ではない
世の中、特に日本では、お金を稼ぐことは「卑しい」「人前で話すことではない」と言うような風潮がいまだにあります。
ただ、この本を読んで改めて思うことは「お金を稼ぐことは世界を良くすること」だということです。
そのかせぎ方に関して「ぬすむ」のような方法でない限り、貪欲にお金を稼ぐことにまい進するのは、自分や家族だけでなく、世界の幸せに貢献できることなのです。
庶民こそ意識的に「ふやす」ことが大事
本書では、株式投資や不動産投資についても詳しく説明されています。それと同時に、投資などは元手のある人しかできず、お金持ちはますますお金持ちになって、貧富の差が広がっていると述べられています。
だからこそ、庶民は本職とは別に「ふやす」手段を持つべきだと強く感じました。
そのヒントはお金を「かりる」で出てきた「金利」にあります。
借金は複利でどんどん膨れ上がるもの、一方投資の金利も複利でどんどん膨れ上がります。
つまり、少額でも借金が身を亡ぼす額に膨れ上がるように、例え少額であっても長期的に投資することが経済を豊かにする鍵であるということです。
庶民がお金を増やすにはどうしたらいい?
まずは、お金についてしっかり学ぶことが大切です。
増やすためには、相手を熟知することから。
その第一歩として、本書がまさにおすすめです。
日本の制度を学ぼう
お金をふやすには「元手」が必要です。
日々の生活の中で、少しでもお金を工面し、「ふやす元手」を作るには、日本の税金制度や、公的な支援などを幅広く知っていることが有利に働きます。
そういったことも包括的に学べるおすすめの書籍は、過去に紹介したリベ大の「お金の大学」です。
本書とは違う切り口で、お金にまつわる様々なことを体系的に学べます。
ママこそ投資を始めよう!
「ピケティの不等式:r>g」からも分かるように、お金を増やす最大の方法はやはり「投資」です。
経済的格差が広がるのは、投資ができるかできないかというところにかかっています。「かせぐ」と「ふやす」をかけあわせた人が最強だということです。
子供の将来のため、自分たちの老後のため、本書を読んで更に投資額を増やそうと強く思いました。
「おカネの教室 僕らがおかしなクラブで学んだ秘密」面白いので、ぜひ読んでみてくださいね!
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